「やりたいことが分からない」は、悪いことじゃない

「やりたいことが、分からないんです」

これは、私が大学で就職支援をしていた頃から、いちばんたくさん聞いてきた言葉です。学生さんだけでなく、社会人になった方からも、同じ声をよく聞きます。

まず伝えたいのは、「やりたいことが分からない」のは、決して悪いことではないということ。むしろ、目の前のことにまじめに取り組んできた人ほど、立ち止まったときに「これでよかったのかな」と考えます。適当に生きていたら、そもそも悩みません。

私はキャリアの相談を受けるとき、「やりたいこと」をいきなり探しにいきません。代わりに、これまでのことを一緒に振り返ります。どんなときに時間を忘れたか。何をしているときに「ありがとう」と言われたか。逆に、何がどうしても我慢できなかったか。

そうやって過去の小さな手ざわりを集めていくと、「やりたいこと」という大きな旗は立たなくても、「こっちの方向は、なんだか心地いいかも」というゆるやかな矢印が見えてきます。人生は、正解の一本道を探すゲームではありません。心地いい方向へ、少しずつ舵を切っていくものだと、私は思っています。

タロットを使うこともあります。理屈で考えすぎて固まってしまったとき、カードは「本当はどう感じている?」を思い出させてくれるからです。占いとキャリア、一見遠いようで、どちらも「あなたの中にある答え」を探す時間という点では、同じなんです。